ロレックス
ROLEX
2025年、ユリス・ナルダンが発表した新作「ブラスト フリーホイール マイユショール」は、世界限定50本・税込2,002万円という希少かつ芸術的なタイムピースです。時計愛好家から高く評価されるこのモデルは、ただの機械式時計ではなく、素材・構造・技術・美学が融合した傑作です。その背景には、革新と伝統を併せ持つスイスの名門「ユリス・ナルダン」の歴史と哲学があります。本記事では、ブランドのルーツからこのモデルの魅力、採用されたマイユショール素材や機構の特徴まで、丁寧に解説します。
ユリス・ナルダンとはどんなブランドか
ブラスト フリーホイール マイユショールとは
マイユショール素材の芸術性
フリーホイール機構と技術革新
まとめ
ユリス・ナルダンは1846年にスイスのル・ロックルで創業した老舗時計ブランドです。創業者のユリス・ナルダンは、海洋クロノメーターの精度で名を馳せ、19世紀〜20世紀にかけて世界中の航海士や海軍に信頼されてきました。特に、航海用精密時計の分野では、精度と耐久性の両立を果たし、数多くの賞を受賞しました。
21世紀以降は、伝統的な時計製造に加え、シリコン素材や革新的な脱進機の採用で業界を牽引する存在になり、複雑機構を「見せる」ことで知られるそのデザイン性は時計を超えたアートの域に達しています。
ブラスト、フリーク、マリーンなどのコレクションにより、モダンラグジュアリーとテクニカル・エクセレンスを体現するブランドとして高く評価されています。
このモデルは、ユリス・ナルダンの現代的なフラッグシップコレクション「ブラスト」シリーズの中でも、最も実験的で芸術的な「フリーホイール」コンセプトを採用した特別限定モデルです。
最大の特徴は、ムーブメントの主要部品を文字盤上に浮遊させたように配置する「フリーホイール構造」。香箱やトゥールビヨンが宙に浮いているように見える大胆なデザインで、伝統的な文字盤構成とは一線を画します。
そのうえで、2025年モデルでは「マイユショール」と呼ばれる金属素材を大胆に採用。ケースはホワイトゴールド製でありながら、インデックスや地板、ケースバックプレートなどに伝統工芸的な金属装飾を取り入れ、美術工芸品のような存在感を放ちます。
また世界限定50本という希少性からも、世界中のコレクターにとって注目の的となっています。
“マイユショール(Maillechort)”は、フランス語で「ジャーマンシルバー」とも呼ばれる金属合金。銅・ニッケル・亜鉛を主成分とし、銀のような色合いと美しい経年変化が特徴です。19世紀ヨーロッパでは、装飾品や高級楽器、工芸品に使われてきた伝統素材でもあります。
「ブラスト フリーホイール マイユショール」ではこの素材を、手作業で成形・磨き上げたプレートとして採用。時計本体に工芸的な深みと温かみを与え、モダンな機構との対比が視覚的インパクトを生み出しています。まさにアートとエンジニアリングの融合が、この素材選びに込められているのです。
ユリス・ナルダンの「フリーホイール機構」は、ムーブメントを“魅せる”ことに徹底的にこだわった設計思想です。香箱、トゥールビヨン、パワーリザーブ表示が文字盤上に独立して配置され、ギアやブリッジの存在をほとんど見せず、まるで「浮かんでいる」ような立体構造に仕上げられています。
中でも特筆すべきは、シリコン素材を用いた脱進機構とフライングトゥールビヨンの組み合わせです。シリコンは軽量・耐磁性・潤滑不要という特性を持ち、精度の安定性を飛躍的に高める革新的素材です。その上、同社独自の「アンカーコンスタントエスケープメント」により、ゼンマイの巻き具合に関わらず一定のトルクを保つ構造を実現しています。
パワーリザーブ表示もまた一線を画すデザインで、4時位置に設置された3本のラインで残量を表示するというユニークな形式で、残量が減ると表示ラインが1本ずつ消える設計です。
ユリス・ナルダン「ブラスト フリーホイール マイユショール」は、ブランドの歴史、職人技、素材選び、革新技術、すべてが凝縮された“現代の芸術作品”です。
・海洋クロノメーターで知られる歴史的ブランド
・視覚的に圧倒されるフリーホイール構造
・伝統素材マイユショールの美しさ
・シリコン脱進機による最先端機能性
・世界限定50本、2,002万円(税込)という価値と希少性
これらの要素が融合した本モデルは、時計という枠を超えた存在であり、美術品を所有するような感覚で手にしたい最上級の1本と言えるでしょう。