【ランゲの新作】美しき時間の構造──ツァイトヴェルク・デイトの世界

リード文

1 リード文
2 目次

A.ランゲ＆ゾーネが2025年7月に発表した新作「ツァイトヴェルク・デイト Ref. 148.033」は、ツァイトヴェルク・デイトのピンクゴールド版です。44.2 mm径／12.3 mm厚のケース、グレーの925シルバーダイヤル、手巻きキャリバーL043.8（72時間パワーリザーブ）といった基本構成は従来モデルと変わりませんが、温かみのあるピンクゴールド素材の採用により、時計の印象がより豊かに仕上がっています。また、ガラス製リングの日付表示や、ジャンピング表示の瞬間的切り替えといった複雑機構も健在。革新的技術と優美な素材の融合を求める時計愛好家にふさわしい一品です。

A.ランゲ＆ゾーネのオリジナルモデル「Zeitwerk Date」（Ref.148.038）は、2019年にホワイトゴールド＆グレーダイヤルで登場。その後2025年7月25日、新たにピンクゴールド（Rose/Pink Gold）ケースのRef.148.033が加わりました。直径44.2 mm、厚さ12.3 mmのケースには、濃いブラウンのアリゲーターストラップが合わせられ、リューズ位置は2時、時刻と日付の修正用に4時・8時位置にパッシャーが備わります。

ダイヤルは925シルバー製のグレーで、外周にプリントされたガラス製日付リングを配し、下地の赤い表示で日付を強調。時間表示は左右対称のジャンピング数字で、秒表示とパワーリザーブインジケーターも配置され、視認性とバランスの取れたデザインが印象的です。

2. キャリバーL043.8と技術解説

#Ref. 148.033

本モデルに搭載されるのは手巻きキャリバーL043.8。従来よりパワーリザーブを36時間から72時間へと拡張したツインバレル構成で、毎時18,000振動（2.5Hz）。パーツ数は516点で、ドイツ銀製の3/4プレート、手彫バランスコック、手仕上げのリモントワールブリッジなど、ランゲならではの卓越した技術と装飾が随所に施されています。

これにより、複雑なジャンピング表示と日付表示を支える安定した動力供給と、舶来とは一線を画す機械美が両立されています。

3. ジャンピング表示と日付機構の仕組み

#Ref. 148.033

ツァイトヴェルクは、時間（時・分）のジャンピング表示が最大の特徴。毎分1回、瞬時に数字が切り替わる機構には**特許取得済みの定力装置（コンスタントフォースエスケープメント）**が使われ、一定の力で確実なジャンプを行います。秒数が60を迎えると、時間／分／日付表示が一斉に切り替わる様子はまさに機械式の魔術です。

日付はガラス製リング上を赤く強調された表示が移動する形で、深夜0時にジャンプ。同時に時分表示も切り替わるため、非常に複雑な制御が求められます。日付修正用のパッシャーは“リリース式”（押して離す時に動作）となっており、信頼性が高められています。

4. ツァイトヴェルクというモデルの意義

#Ref. 148.033

ツァイトヴェルクは、A.ランゲ＆ゾーネの中でも最も実験的かつ革新的なコレクションとして2009年に初登場しました。それまでの伝統的なラウンドケース×針表示という構造を打ち破り、ジャンピング数字によるデジタル時刻表示を採用。これは機械式時計としては非常に稀有で、視認性・機械構造ともに難度が高いものです。

ツァイトヴェルクの設計思想は、単なる機械式時計の進化にとどまらず、**“時間を視覚的に体験させる”**という哲学的なアプローチにもつながっています。文字盤左右に配された数字ウィンドウは、視線を自然に導き、瞬時の読み取りを可能にします。さらに、このシリーズはランゲの持つ高精度加工技術、複雑機構、そして芸術的な装飾の結晶でもあり、ブランドのアイコンモデルとして世界中のコレクターから高く評価されています。

ツァイトヴェルク・デイトはその最新進化形であり、オリジナルのフォルムを維持しつつ、日付機構と72時間のロングパワーリザーブを搭載したことで、より実用的かつ完成度の高い一本に仕上がっています。

5. まとめ

#Ref. 148.033

A.ランゲ＆ゾーネの新作、**ツァイトヴェルク・デイト Ref. 148.033（ピンクゴールド）**は、技術と風合いが見事に融合したモデルです。ツァイトヴェルク・デイトの持つ定力機構とジャンピング表示、72時間パワーリザーブのL043.8をベースに、温かみのある素材感とダイヤル色との相性を高めることで、既存の白金モデルとはまた異なる個性が演出されています。複雑機構と美麗な仕上げの世界を、より豊かなトーンで楽しめる逸品です。