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    【ジュルヌの超機構】時計界のアウトサイダーが放った、静かな革命——ザッカーバーグが纏う理由 

    【ジュルヌの超機構】時計界のアウトサイダーが放った、静かな革命——ザッカーバーグが纏う理由 

    リード文

    フェイスブック創業者であり、現在はMetaのCEOとしてメタバース時代の先駆者となったマーク・ザッカーバーグ氏。彼が最近愛用している腕時計が、フランソワ・ポール・ジュルヌ(F.P. Journe)の異色作「FFC(Francis Ford Coppola)」です。指の形で時間を表示するという前代未聞のメカニズムを持つこの時計は、単なるステータスシンボルではなく、着用者の思想や美学すら表す存在です。本記事では、FFCの革新性と背景、ブランドF.P. Journeの哲学、そしてザッカーバーグ氏の価値観との共鳴について詳しく解説します。


    目次

    1. FFCとは? — 指を使って時間を“読む”独創デザイン

    2. ジュルヌとコッポラの出会い — 時計製作に込められた物語

    3. ザッカーバーグがFFCを選んだ理由

    4. F.P. Journeというブランドの本質

    5. まとめ

     


    1. FFCとは? — 指を使って時間を“読む”独創デザイン

    #Ref. FFC

    FFC(Francis Ford Coppola)は、文字盤中央の金属製の手が、指の形で時間(時)を表現するというかつてない表示方式を採用した機械式腕時計です。分はベゼル周囲のリング表示で示される一方、時は12のジェスチャーによって直感的に読み取る構造。指が1〜12時をそれぞれ異なる形で表すため、瞬時に“読む”ためには若干の慣れが必要ですが、慣れてしまえば非常に感覚的でユニークです。この手の形状は、16世紀の機械義手の構造に着想を得て設計されています。

    この大胆なアイデアと実装には、機械式時計の常識を覆す創造性が感じられ、従来の「針で時間を読む」という概念を根本から見直す一歩とも言えるでしょう。


    2. ジュルヌとコッポラの出会い — 時計製作に込められた物語

    #フランシス・フォード・コッポラ監督

    このFFCの起源は、映画監督フランシス・フォード・コッポラがF.P.ジュルヌに持ちかけた問いにあります。「もし手の形で時間を表すことができるとしたら、どんな時計になるのだろう?」というシンプルながらも挑戦的なアイデアが、ジュルヌ氏の創造性に火をつけました。

    彼はこの着想を約7年間かけて形にし、2021年には「FFC Blue」というプロトタイプを「Only Watch」のチャリティオークションに出品。このモデルは約4.5百万スイスフラン(約7億円相当)で落札され、大きな話題を呼びました。FFCという名はもちろん、コッポラ氏の頭文字から取られています。

    このエピソードからも分かる通り、FFCは単なる時間表示装置ではなく、人との対話から生まれた“物語のある時計”であり、着用者にも深い哲学性や感性が求められる作品です。


    3. ザッカーバーグがFFCを選んだ理由

    #Instagram:insaneluxurylife

    ザッカーバーグ氏がFFCを着用している姿が話題になったのは、2025年に出演したJoe Roganのポッドキャスト「The Joe Rogan Experience」でした。この番組では普段あまり見られない彼の私生活や思想が垣間見える場でもあり、そこでの着用時計としてFFCが選ばれていたことが、多くの時計ファンやテック業界関係者に驚きを与えました。

    彼のファッションや装飾品の選び方は一貫して「機能性」や「ミニマリズム」に基づくもので、Tシャツやフーディといったラフな服装がトレードマークになっています。その彼が、時計という“時間”を象徴する装飾に、あえてこのような複雑機構かつアート的な1本を選んだことには、強いメッセージ性があります。

    FFCは、技術革新、手仕事、ストーリー性、そして独立性を併せ持つ作品です。ザッカーバーグ氏が好む「先進性と思想性の融合」が見事に詰め込まれているからこそ、選ばれたのでしょう。


    4. F.P. Journeというブランドの本質

    #Ref. FFC

    F.P.ジュルヌは、1999年にフランソワ・ポール・ジュルヌ氏によって設立されたスイスの独立系高級時計ブランドです。「Invenit et Fecit(彼が発明し、彼が作った)」というブランドモットーに象徴されるように、設計から製造までを完全自社一貫体制で行っており、コンセプト重視の創作が特徴です。

    彼の時計は「クロノメーター・スヴラン」や「トゥールビヨン・スヴラン」など、機械式時計の限界を押し広げる革新的な作品が多数存在します。機械美と技術革新、そして精度と感性を絶妙に融合させたジュルヌの時計は、時計愛好家から非常に高い評価を得ています。

    製造本数は非常に限られており、年間わずか数千本。しかもその一つひとつにストーリーや設計思想が込められているため、「買えるから選ぶ」のではなく、「共鳴した者だけが手にする時計」とも言える存在です。


    5. まとめ

    F.P.ジュルヌのFFCは、技術・芸術・人間性が融合した、まさに“語る時計”です。その誕生には映画監督との対話というユニークなエピソードがあり、設計思想には人間の感覚と直感を重視する哲学が詰まっています。

    その時計を選び着用するマーク・ザッカーバーグ氏は、合理性の権化のように思われがちですが、実際には思想的・感覚的な選択を大切にしている人物でもあります。テクノロジーと人間性のバランスを探求し続ける彼にとって、FFCは単なる高級時計ではなく、自身の価値観を象徴する“相棒”なのかもしれません。