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    【ヴァシュロン・コンスタンタン】テンポリス・デュオ |三大複雑機構を可視化した芸術作

    【ヴァシュロン・コンスタンタン】テンポリス・デュオ |三大複雑機構を可視化した芸術作

    リード文

    Vacheron Constantinの「Les Cabinotiers」シリーズから2025年に登場した、テンポリス・デュオ グランドコンプリケーション オープンフェイス(Ref. 9750C/000R‑215C)。約700点の部品で構成された驚異の手巻ムーブメントは、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、スプリットセコンド・クロノグラフを搭載。サファイアダイヤルから精密な機構を見渡せる“Openface”仕様で、技術と美の究極の融合を体現しています。本記事ではその魅力を徹底解説します。


    目次

    1. ヴァシュロン・コンスタンタンとは

    2. 本作の背景と「Les Cabinotiers」シリーズとは

    3. ムーブメント Calibre 2757 S の構造と機能

    4. Openfaceデザインと素材技術

    5. 工芸と仕上げ──サファイア×5Nピンクゴールド

    6. まとめ

     


    1. ヴァシュロン・コンスタンタンとは

    1755年創業、現存する世界最古の時計ブランドであるヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)は、常に革新と伝統を融合し続けてきました。パトリモニー、オーヴァーシーズ、ヒストリークなどのコレクションを通じて、美的均整と技術革新の粋を極めた作品を発表してきた同社は、ジュネーブ・シール(Poinçon de Genève)を取得する数少ないメゾンのひとつでもあります。特に一点物を制作する「Les Cabinotiers(レ・キャビノティエ)」部門は、最高難度の機構を具現化する創造のアトリエとして知られています。


    2. 本作の背景と「Les Cabinotiers」シリーズとは

    #Ref. 9750C/000R‑215C

    「Les Cabinotiers」は、ヴァシュロンが特注の一点物時計を製作するために設けた特別部門で、18世紀のジュネーブにいた独立時計師「キャビノティエ」のその名に由来します。芸術性、機構性、そして工芸性を融合させた唯一無二の時計がここから誕生します。今回の「テンポリス・デュオ」は、2022年に発表された同名モデルの進化系であり、初めてサファイア製のダイヤルを採用することでムーブメントの美しさを前面に打ち出した「Openface」仕様としてリリースされました。


    3. ムーブメント Calibre 2757 S の構造と機能

    #Ref. 9750C/000R‑215C

    Calibre 2757 Sは696個の部品から成る手巻きムーブメントで、三大複雑機構──トゥールビヨン、ミニッツリピーター、スプリットセコンド・クロノグラフ──を搭載しています。クロノグラフ機構は2つのカラムホイールとラチェット式制御を採用し、高い耐久性と精度を実現。ヒゲゼンマイには球形の天文時計スタイルを採用し、等時性を向上させています。リピーター機構はガバナー(減速機)を使い、静音かつなめらかなチャイミングを実現します。このムーブメントの厚さは10.4mmに抑えられ、複雑機構ながらも着用性も確保しています。


    4. Openfaceデザインと素材技術

    #Ref. 9750C/000R‑215C

    本作の最大の特徴は、厚さ0.5mmのサファイアクリスタル製ダイヤルを通じて、ムーブメントの機構美を視覚的に堪能できることです。時間表示とクロノグラフ積算計は外周に配され、ゴールド製の金属蒸着でコントラストを確保。クロノ針にはオリーブグリーンPVD仕上げのアルミ素材を採用し、軽量で視認性にも優れます。ストラップも同系色のアリゲーターレザーで統一されており、デザインと機能の調和が取れています。


    5. 工芸と仕上げ──サファイア×5Nピンクゴールド

    #Ref. 9750C/000R‑215C

    ケースは5Nピンクゴールド製で直径45mm、厚さ16.4mmの堂々たるサイズ感。ムーブメントの仕上げは、手仕上げによる面取り、鏡面ポリッシュ、ビーズブラスト加工が駆使されており、ジュネーブ・シールにふさわしいクオリティを誇ります。特にミニッツリピーターのガバナー・ブリッジには、製作者「JMV」のイニシャルが刻まれており、約8時間に及ぶ彫金作業が施されています。これはまさに“時計職人の署名”とも言える存在です。


    6. まとめ

    #Ref. 9750C/000R‑215C

    テンポリス・デュオ グランドコンプリケーション オープンフェイスは、単なる高級時計の枠を超え、現代の“動く芸術”としての位置づけを持つ作品です。トゥールビヨン、ミニッツリピーター、スプリットセコンド・クロノグラフという三大複雑機構の完全融合に加え、内部構造を惜しげもなく見せるOpenface仕様により、機械美と造形美が共演しています。サファイアとピンクゴールドの素材使い、熟練の職人による仕上げ、現代素材の活用など、すべての要素が一貫した美学のもとに設計されています。

    そして、ヴァシュロン・コンスタンタンというブランド自体が持つ“伝統と革新”の哲学が、本作を通じて明確に感じられるのも特筆すべき点です。価格は非公表ながら、このユニークピースは世界中のコレクターの憧れとなるであろう、時計界のひとつの到達点とも言えるでしょう。