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    【超複雑時計の頂点】リシャール・ミル RM008-V2:究極のトゥールビヨンとクロノグラフを徹底解説

    【超複雑時計の頂点】リシャール・ミル RM008-V2:究極のトゥールビヨンとクロノグラフを徹底解説

    リシャール・ミル RM 008‑V2 は、トゥールビヨンとスプリットセコンド・クロノグラフを同時に搭載した、時計工学の極致とも言える超ハイエンドタイムピースです。2003年発表以来、当時21世紀初の新設計ラトラパント付きトゥールビヨンとして注目を浴び、その複雑機構には並々ならぬ技術力と精密さが詰め込まれています。本記事では、その驚異的な構造、素材、機能、組み立ての難度から限定性に至るまで、徹底的に解説します。


    目次

    1. トゥールビヨン+スプリットセコンドの革新機構

    2. 素材と設計:極限へのアプローチ

    3. 組み立て・調整と生産の難易度

    4. 現行ステータスとコレクター価値

    5. まとめ


    1. トゥールビヨン+スプリットセコンドの革新機構

    RM 008‑V2 は、トゥールビヨンとラトラパント(スプリットセコンド)クロノグラフを一つのキャリバーに収めた、極めて稀な複雑機構を持ちます
    このラトラパント機能は、RM 004 の流れを汲む21世紀初の新設計であり、スプリットセコンドアームの摩擦を従来比約50%削減、初動のジャンプを極限まで抑える設計が施されている点が革新的です

    1‑1. トゥールビヨンキャリッジ

    85 部品から構成されるトゥールビヨンキャリッジは、わずか 0.34g に収められた超軽量設計で、精緻な調整に数ヶ月を要する職人技の集大成です

    1‑2. スプリットセコンド構造

    チタン製レバーやカラムホイールを採用し、スプリット機構のためのエネルギー消費を大幅に軽減しています。この設計により、クロノ秒針の動作安定性と信頼性が飛躍的に向上しました


    2. 素材と設計:極限へのアプローチ

    RM 008‑V2 は、素材選定にも妥協を許さないアプローチが徹底されています。

    • カーボンナノファイバー製ベースプレート:7,500 N/cm²、2,000°C という高温高圧で成型されたナノファイバー複合材は、全方向にわたる機械的・化学的安定性を誇ります

    • グレード 5 チタン製ブリッジ/カラムホイール:航空宇宙でも使用されるチタン合金を採用し、高剛性・耐腐食性を確保しつつ軽量化を実現

    また、トルクインジケーター(53–65 Nmm 範囲)、パワーリザーブ(約70 時間 ±10%)、機能表示(W/N/H)など、操作性と精度維持に配慮した複合表示が備わっています


    3. 組み立て・調整と生産の難易度

    このモデルの組み立ては、他のいかなる時計より手間がかかると言われています。たった一人の熟練時計師のみが完璧な仕上げと調整を行えるともされ、その完成には数週間から数ヶ月を要します
    微細な傷やわずかなズレが全体の性能に影響するため、極限まで集中と精度が求められます。


    4. 現行ステータスとコレクター価値

    RM 008‑V2 は現在リシャール・ミルのラインアップには掲載されておらず、ディスコン(生産終了)モデルです 。プラチナやローズゴールドケースの個体が流通し、現地価格は500,000〜1,000,000ドル台に達する例もあります
    非常に限られた製造数しかないため、希少性と投資性でも注目されており、特に完璧に状態管理された個体はコレクターから熱望されています。


    5. まとめ

    RM 008‑V2 は、トゥールビヨンとスプリットセコンド・クロノグラフという最難関複雑機構を一体化し、素材・構造・組み立てのすべてにおいて極限まで磨き抜かれた逸品です。組み立てに数ヶ月を要し、一本の完成までに卓越した職人技が宿ります。現在は製造終了済みの希少モデルとして、時計愛好家やコレクターの間で伝説的なステータスを築いています。時を刻む機械美の極致を求める者のための、孤高のエクストリームです。