ロレックス
ROLEX
腕時計のローマ数字インデックスで「4」を見ると、「IV」ではなく「IIII」と表記されていることに気づいたことはありませんか? これは単なるデザインの好みではなく、実は歴史的、審美的、そして実用的な理由があるのです。
実は古代ローマでは「4」を表す際に、「IV」よりも「IIII」がよく使われていました。 これは「IV」がローマ神話の最高神「Jupiter(ラテン語でIuppiter)」の頭文字である「IV」と重なるため、神への注意から避けられていたという説があります。 石碑や建造物のレリーフなどにも「IIII」が多く見られ、その使用は一般的でした。
中世以降、「IV」という表記も徐々に一般化していきましたが、時計や塔の鐘楼、教会の時計台などでは、伝統を重んじる風潮から「IIII」が引き続き使われ続けました。
腕時計の文字盤は通常12分割されています。「IIII」にすることで、文字盤の区別(I、II、III、IIII)と適正(VIII、IX、X、XI)でのローマ数字の文字数やバランスがより均等になります。例えば「IV」にしてしまうと「VI」以降と比較して文字数が少なく、全体のデザインバランスが乱れると感じる時計職人も少なくありません。
時計制作が始まった初期の中世ヨーロッパでは、職人たちは「IIII」を使うことで、ひたすら均整や見た目の調和を大切にしていました。この慣習は現代にも受け継がれており、多くの高級時計ブランドが伝統を重んじて「IIII」を採用し続けています。
この「IIII」採用の背景には、フランス王・シャルル5世にまつわる有名な逸話があります。あるとき、時計職人が「4」の表記として「IV」を使っていたところ、シャルル5世は自身の称号である「V」から「I」を引くのは縁起が悪いと考え、時計師に「IV」を「IIII」に変えさせたと言われています。
世界的な高級時計ブランド「ロレックス」も、ローマ数字を採用したモデルでは「IIII」を用いています。この選択は、ロレックスが追求するデザインの美しさと機能性の融合を象徴するものであり、受け継がれてきた伝統と職人技への深い敬意の表れでもあります。
ロレックス以外にも、パテックフィリップ、カルティエ、オメガなど、圧倒的なブランドが「IIII」を採用しています。 特にクラシックなデザインや伝統を重視するモデルにおいては、「IIII」の採用はひとつの「美」の象徴とも言えます。
「IIII」のほうが視認性に優れ、数字の配置も自然に感じられるため、ユーザーにとっても読みやすく感じられる場合が多いです。実用性だけでなく、全体の統一感や時計全体の美しさにも関係しています。
一部の現代的なデザインでは「IV」をそのまま採用し、モダンさや斬新さを演出している時計もあります。ただし、「IIII」は伝統・職人技・バランスという観点で、時計愛好家からは今も高く評価されている表記になります。
A. 時計では視覚性やデザインバランスを重視するため、「IIII」の方が適していると判断されているためです。
A. いいえ、古代ローマでも「IIII」は正式に使用されていた歴史的な表記方法です。
A. はい、一部のブランドではモダンデザインの主流として「IV」を採用しています。
「IIII」という表記は、古い表記法ではなく、ローマ時代から続く伝統の一部であり、現代においてもその美しさと意味を失っていません。 腕時計の世界では、デザイン、バランス、そして職人技の結晶として「IIII」が選ばれているのです。